JFEスチールの挑戦とJAFZAが支える日系企業ネットワーク

Desert Icons Vol. 18 JFEスチール ドバイ事務所 所長 /ドバイ日本商工会議所 JAFZA 部会長 山根秀穂。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。
中東鉄鋼市場に挑むJFEスチール
--ドバイ事務所の主な業務内容と管轄地域について教えてください
山根 当事務所は鉄鋼メーカーJFEスチールの駐在員事務所であり、主な業務は市場調査や、お客様への技術的なアフターサービスです。最大の特徴は管轄地域が広い点で、中東全域に加えてパキスタン、アフリカ、そしてヨーロッパも担当しています。
--アブダビで展開されているラインパイプ事業について教えてください
山根 政府系投資会社のADQと伊藤忠丸紅鉄鋼と共に「アル・ガービア・パイプ・カンパニー(AGPC)」という合弁会社を運営しています。石油や天然ガスを長距離輸送するための大径の溶接鋼管、いわゆるラインパイプを製造・販売。製品は主にUAE国内向けで、アブダビの海上油田から陸上までの海底やUAE国内の陸上で原油・ガスを輸送するパイプラインなどに使われています。

--中東における鉄鋼需要にはどのような特徴がありますか?
山根 中東の鉄鋼需要は、主に建設、インフラ、エネルギーの3分野が中心です。地場の鉄鋼メーカーも多いため、我々が特に注力しているのは、技術力が求められる高付加価値な製品分野。具体的には、石油・ガス生産設備で使われる鋼管や厚板がメインです。特に、中東は腐食性が非常に厳しい環境であるため、そうした環境に耐えうる「耐食性」に優れたハイスペックな製品が求められており、それが我々の強みを発揮できる領域です。
--どのような戦略を考えていますか?
山根 現在、脱炭素社会に向けた取り組みとして、アブダビのエム・スチール(旧エミレーツ・スチール)および伊藤忠商事と共に、CO2排出量を削減できる還元鉄事業の事業化検討を進めています。これは従来の石炭/コークスから、天然ガスや将来的には水素を還元材として鉄を作るというもので、カーボンニュートラルに向けた挑戦しがいのある成長分野だと考えています。今後の戦略のポイントは、得意とする高付加価値製品の販売比率を高めていくことと、信頼できるパートナーと協業して市場に深く根差していくことの2点です。
JAFZA部会が拓く日系企業ネットワーク
--では、ドバイ日本商工会議所のJAFZA部会長としてお聞きします。企業がJAFZAを拠点とするメリットは何ですか?
山根 規模感、インフラ、そして先進的なサポート体制にあります。まず、JAFZAは中東最大級の自由貿易地域(フリーゾーン)です。「140ヵ国以上に渡り、11,000社が入居」という数字は、世界中の企業が集まる巨大なビジネスハブであることがわかります。最大の利点は、世界最大級のコンテナ取扱量を誇るジェベル・アリ港に直結している点。これにより、製造拠点と国際物流をシームレスに結びつけることが可能です。また、運営母体であるDP Worldによる手厚いサポートも大きなメリット。専門の担当者が配置されており、ビジネス上の課題について気軽に相談できる体制が整っています。
--JAFZA部会に加盟することで、どのようなメリットがありますか?
山根 最大のメリットは、強固なネットワークを構築できる点。JAFZAには貿易、物流、製造、ITなど多様な業種の企業が進出しており、部会が主催する定期的な会合や交流イベントを通じて、これらの異業種企業との情報共有や協業の機会が生まれます。。
--立地やアクセスの利便性については、どう評価されていますか?
山根 非常に高く評価しています。タイなどの工業団地が都心から1時間以上かかる場合があるのに対し、JAFZAはドバイの主要居住エリアからのアクセスが良好です。例えば、多くの駐在員が住むドバイマリーナ地区から車で約15分という通勤のしやすさも魅力。将来的には、隣接するアール・マクトゥーム国際空港(DWC)が世界最大規模のハブ空港として本格稼働する計画があり、JAFZAが中東地域のハブとしての重要性をさらに増していくことは間違いありません。。





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