"工学と芸術が融合した建築の世界への挑戦" 日建設計ドバイCEO ファディ ジャブリ インタビュー
Executive Dialogue Vol. 22 日建設計ドバイCEO ファディ ジャブリ。Gates Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。

東京大学にて博士号を取得。日本の建築理念をグローバルな設計実務と融合させ、先端技術と統合した国際的ランドマークプロジェクトに携わってきた。25年以上にわたり中東地域で、都市計画、複合高層ビル、住宅、ホスピタリティ分野など幅広い経験を有する。現在は日建設計ドバイCEOとしてデザインスタジオを率い、チームやクライアントと協働しながら、日本建築の思想を現地の特性に応じて現代的に体現している。英語、日本語、アラビア語、ロシア語に堪能。
幼少期から培った世界的視野、日本の最高学府で建築を学ぶ

永杉:日本の設計企業というと、まず名前が挙がるのは日建設計ではないでしょうか。東京スカイツリーや東京ミッドタウンなど、同社が手掛けたプロジェクトは枚挙に暇がありません。また、世界的にも成功を収めており、ドバイでも「One Za'abeel」を始めとする巨大プロジェクトを手掛けてきました。
今回は、日建設計ドバイCEOであるファディ・ジャブリさんにお話をうかがいます。このインタビューはすべて日本語で行いますが、ジャブリさんは日本語、英語、アラビア語、ロシア語に堪能だとか。まずは、ご自身のルーツ、そして建築の道を志すきっかけからお聞きします。
ジャブリ:私はベルリンで生まれ、モスクワとダマスカスで育ちました。これらの異なる文化や都市環境での成長が、幼少期から私にグローバルな視点をもたらしてくれました。子どもの頃から芸術や建物に強い興味を持っており、それが徐々に「建築が都市や社会をどう形作るか」への好奇心へと発展。15歳のとき、建築の道に進むことを決めました。建築は芸術と工学を独自の形で結びつけるだけでなく、文化の壁を超えて人々に共通に理解される言語でもあると感じたからです。
永杉:日本にも留学され、最終的に東京大学の大学院で建築を学んだそうですね。
ジャブリ:東京大学大学院では、伝統建築から現代建築まで幅広く学びました。特に住宅建築の進化に強い関心を持ち、それを修士論文のテーマとして研究しました。安藤忠雄氏、香山壽夫氏、大野秀敏氏といった素晴らしい指導者に恵まれ、多くを学ぶことができました。
会社とは島が点在する海、自ら開拓する島を探す
永杉:2000年、日建設計に入社されています。日建設計を選んだ理由と、入社当初のキャリアについて教えてください。
ジャブリ:日建設計を選んだのは、デザイン哲学の明確さ、技術力の高さ、そして国際的な展望に惹かれたことが理由です。日建設計でのキャリアは、日本国内の重要プロジェクトに携わることから始まりました。この経験が、設計や調整、大規模開発を実務としてしっかり学ぶ土台となりました。
永杉:そして2007年から、中東地域マーケティングの責任者を務められています。その決断の背景には、どのような思いがあったのでしょうか?
ジャブリ:私はよく、会社を「多くの島が点在する広大な海」に例えます。私たちはその海を泳ぎながら、自分が根を下ろし開拓すべき島を探していくのです。日本国内の重要プロジェクトを経験した後、中東やロシアの国際プロジェクトに関わる中で、新しい挑戦や可能性に触れました。そして、私の「島」となったのがドバイです。ここを拠点に、中東やCIS諸国、さらに未知の地域での活動に取り組んでいます。自分のバックグラウンドや地域での経験を活かして、会社の戦略的な成長に貢献できることに深いやりがいを感じています。
永杉:他にも支社の候補地はあったと思われますが、このエリアの新たな拠点としてドバイが選ばれた決定的な理由はなんなのでしょうか?
ジャブリ:ドバイはインフラやアクセスの優れた立地で、多くの地域に効率的に対応できる理想的な拠点です。東京本社や上海・ハノイ・バンコクの海外拠点と緊密に連携しながら、グローバルな専門性と地域知識を統合しています。成長の可能性でいうと、サウジアラビアは意欲的な国家開発プログラムによって特に注目の市場です。
世界が憧れる都市ドバイ、急成長するドバイブランド

永杉:ドバイに地域拠点を構えてからおよそ20年。日建設計は、ドバイのアイコンの「One Za'abeel」を手掛けるなど、順調な成長を遂げています。ビジネスの現況を教えてください。
ジャブリ:One Za'abeelは、地域での私たちの知名度と信頼を大きく高めてくれました。難易度の高い革新的な建築を、世界レベルで実現できることを示す機会となったのです。そのおかげで、公共・民間のクライアントからの関心が高まり、より大胆でスケールの大きなプロジェクトに関わるチャンスも増えています。
永杉:ドバイにおける成功の要因はどこにあると考えますか?
ジャブリ:私たちはしばしば「日本発の、少し謎めいた建築集団」と受け取られることがあります。詩的なミニマリズムや控えめで洗練された表現、シンプルさ、そして時代を超えて愛される佇まい。そうした建築のあり方が、私たちの特徴として広く知られています。一方で、近年は現地法人の体制を大きく強化し、クライアントとの距離もぐっと近くなりました。地域の背景やニーズを丁寧にくみ取りながら、よりスピーディーできめ細やかな対応ができるようになっています。 現在は、そうした設計思想と技術力を体現するプロジェクトが数多く進行中です。ダール・グローバル社が開発する超高層のトランプタワーをはじめ、ジュメイラ・アイランドのセレニア・ディストリクト、独自の庇デザインが印象的なドバイ・ハーバー・レジデンスなど、いずれも実現段階にあります。
永杉:では最後に、今後のドバイ事業を推し進めるうえで描いているビジョンを教えてください。
ジャブリ:日建設計ドバイを、日本と地域をつなぐ架け橋として、さらに力強く成長させていきたいと考えています。また、ドバイスタジオをこの地域でトップクラスのデザインハブに育てることも目標です。私たちは、20を超える国籍の多彩で才能あふれるチームとともに、都市デザインから建築、インテリア、ランドスケープまで、幅広くトータルなデザインサービスを提供しています。このチームが新しいデザインの基準を生み出し、常に創造性を広げながら、次世代の建築家に刺激を与え、地域のコミュニティとも深くつながっていく――そんな未来を目指しています。
永杉:そうした未来へと率いるジャブリさんが、日本の建築を深く理解し、その思想を世界に広げてくださっているのは、日本人としても大変嬉しく思います。今後ますます中東地域でのプレゼンスを高めることを期待しております。本日はお忙しい中ありがとうございました。





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