日本の電力を支えるJERAが中東で挑む、脱炭素と安定供給の未来

Desert Icons Vol. 23 Chief Executive Officer, JERA Middle East & Africa Management Co. Ltd 植田紀之。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。
日本発、世界で戦うエネルギー企業の全貌
--まずはJERAという会社について教えてください。
植田 JERAは2015年に東京電力と中部電力の燃料・火力発電事業を統合して設立されました。日本国内では26ヵ所の火力発電所と11ヵ所のLNG基地を保有し、日本の電力の約3割を発電しています。また、グローバルにも事業を展開し、世界10ヵ国以上で発電事業を行っているほか、燃料のトレーディング事業も行っています。売上収益は3~4兆円、総資産は8兆円規模、グループ全体の従業員数が6,000名以上の企業です。
--JERAの強みは何でしょうか?
植田 我々は3つの事業運営能力を有しています。1つ目はグローバルなIPP事業開発です。2つ目は燃料の調達・輸送・トレーディングを統合的に運営する最適化事業。そして3つ目はO&M(オペレーション&メンテナンス)、つまり火力発電所のオペレーターとしての技術力です。特に、我々はLNGの上流権益やLNGの輸送船団も保有しており、日本国内にLNGを受け入れる基地も11ヵ所あります。この火力発電のバリューチェーン全体を保有していることが、弊社の強みであると考えています。

--JERAがドバイに拠点を置く理由を教えてください。
植田 中東では電力需要の増加が続いており、安定的な電力供給と脱炭素化目標の両立という課題が生じています。このような中、統合型の発電、燃料マネジメント、運用に関するJERAの専門性を活かし、同地域の信頼性あるエネルギートランジションを支援できる大きな機会が存在しています。現在、中東地域の4ヵ国で発電事業と造水事業を含む9つのプロジェクトを展開しています。ドバイは世界各地との優れたアクセスとビジネスに適した環境を備えており、当社の事業戦略を展開する戦略拠点として最適だと考えています。
脱炭素と安定供給の両立、中東でのJERAの挑戦
--中東でのアンモニアの活用の可能性についてどのように考えていますか?
植田 2024年5月に発表した「2035年ビジョン実現に向けた成長戦略」では、LNG・再エネ・水素/アンモニアを戦略的事業領域と位置づけました。一方、JERAとUAEは深い関係を築き、同国と共に成長してきました。火力発電の長期的な脱炭素化を実現するために、この地域は将来を見据えてアンモニア、水素、CCSなどのソリューションに目を向けていく必要があります。中東は再エネを低コストで導入でき、天然資源も豊富なので、低廉でクリーンな水素/アンモニアを製造できる地域です。
--太陽光発電が盛んな中東で、ガス火力はどのような役割を果たすと考えていますか?
植田 ガス火力は国や地域によって調整役にも主役にもなります。アジアは石炭からガスへ、中東は石油からガスへ、最近はヨーロッパでもLNGとガス火力の位置づけが見直されています。大切なのは、調整力を持つガス火力が電力供給基盤のアンカーであるからこそ、再エネの導入を進めることができます。両者は互いに補完し合う関係です。
--再エネだけでは電力の安定供給ができないのはなぜですか?
植田 再生可能エネルギーは自然条件で大きく変動します。太陽光発電は、夜は発電することができず日中の電気を貯めておく蓄電池が必要になります。しかし、蓄電池のコストはまだ高く、大型蓄電池は導入にコストがかかります。電力の性質上、安定供給を行うためには「同時同量」という需要と供給を常に一致させなければなりません。そのため、LNGとガス火力は今後も重要な役割を担います。

--現在のプロジェクトの進捗はどうですか?
植田 非常に順調です。JERAの設立前から、UAE、カタール、オマーンに社員を派遣してプロジェクトに携わり、実践的なサポートを行ってきました。アブダビのウム・アル・ナール(UAN)プロジェクトは2003年頃から参画し、約20年以上にわたってUAEの電力供給に貢献してきました。サウジアラビアで参画を決めた3つのプロジェクトにも、昨年から従業員を数名派遣しており、建設工事は順調に進捗しています。




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