空港改革から始まったカシミ殿下の挑戦。ワン・ハイブ 会長 /ラス・アル・ハイマ民間航空局 局長 シェイク・サレム・ビン・スルタン・アル・カシミ殿下 インタビュー
Executive Dialogue Vol. 19 Part2 ワン・ハイブ 会長 /ラス・アル・ハイマ民間航空局 局長 シェイク・サレム・ビン・スルタン・アル・カシミ殿下。Gates Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。

シェイク・サレム・ビン・スルタン・アル・カシミ殿下
ラス・アル・ハイマ王族。アメリカ・アリゾナ大学で鉱山工学を学んだ後、シャルジャアメリカン大学でMBAを取得。現在はラス・アル・ハイマ民間航空局局長として空港開発や観光振興に携わるほか、養蜂事業ブランド「ハッタ・ハニー」を展開する企業「ワン・ハイブ」を設立し、持続可能な養蜂業の普及を先導している。さらに、アジア・フェンシング連盟の会長として競技発展を牽引するなど、公職と民間事業の双方で幅広く活躍している。
空港改革を託され航空局局長に就任

永杉:前回に引き続き、シェイク・サレム・ビン・スルタン・アル・カシミ殿下にお話をうかがいます。前編では、UAEで注目を集める養蜂事業についてお聞きしました。後編は一転して、ラス・アル・ハイマ民間航空局局長としての活動に焦点を当てます。
まず、読者の方にラス・アル・ハイマについて説明をします。ラス・アル・ハイマは、アラブ首長国連邦を構成する7つの首長国のうちの一つで、UAEの北東端に位置します。とはいえ、ドバイからは車で1時間半ほどの距離ですので、交通の便は良いという印象です。カシミ殿下はラス・アル・ハイマ首長国の王族であるとともに、民間航空局の局長も務められています。局長就任の経緯から教えてください。
カシミ殿下:この仕事に関わるようになったのは1997年頃のことです。当時の空港は外資系企業が運営していたのですが、運営を国内に移管するうえで暫定的な理事会が作られることになりました。政府が理事会の会長を探していたところ、エンジニアリング出身の私に白羽の矢が立ち、1年間の任期でインフラ刷新や空港整備などを行いました。1年が過ぎた後、辞任をしようとしたのですが、政府から仕事ぶりを評価され、現在に至るまで続けることになったのです。
山や砂漠、ビーチにIRも豊富な観光資源が魅力
永杉:ラス・アル・ハイマは観光に力を入れていると聞きました。ドバイやアブダビと比べて、強みはどこにあると考えますか?
カシミ殿下:まずは多彩で豊かな自然です。ラス・アル・ハイマには、UAE最高峰ジェベル・ジャイスがあり、日本の山々とはまた違う美しい景色を見せてくれます。ハイキングはもちろんですが、アクティビティも楽しむことができます。例えば、世界でもっとも長いジップラインはジェベル・ジャイスに設けられています。
一方、ラス・アル・ハイマの北西側はほとんどビーチで構成されています。北のオマーン国境から、西にあるウンム・アル・カイワイン首長国との境までビーチが延々と続いていそして、もちろん広大な砂漠も有しています。ラス・アル・ハイマの大きな強みは、わずか数キロ程度移動するだけで、これら3つすべてにアクセスできるという点。山でトレッキング、海でマリンアクティビティ、そして砂漠でラクダに乗るという楽しみを一気に味わえる体験は他では得難いものでしょう。
また、ナツメヤシや野菜などを生産するのどかな地域でもあるので、ドバイやアブダビる景色は圧巻です。とはまた違う、自然豊かでのんびりとした時間を過ごせるエリアだと思います。
永杉:歴史的な見どころも多いと聞きます。
カシミ殿下:そのとおりです。ラス・アル・ハイマに定住が始まったのはおよそ7,000年前のことです。紀元前に遡る遺跡群が各地に点在し、考古学的にも国際的な関心を呼んでいます。私は父とともに考古学の活動もしており、各国の学者とも協力して発掘などを行ってきました。日本からも考古学チームが来て、調査を行ったことがあります。こうした研究の成果はラス・アル・ハイマの博物館で見られるので、歴史好きの人はぜひ訪れてほしいですね。
また、山岳地帯には100年以上前に建てられた石造りの家がまだ残っています。何千年も前の遺跡だけでなく、少し前の時代の建物や文化を楽しむこともできますよ。

永杉:自然や歴史が大きな魅力である一方、UAE初となる統合型リゾート(IR)の開発も進んでいます。米国の大手カジノ企業であるウィン・リゾーツも参画する大規模な計画が進行しており、ラスベガスにある「ウィン・ラスベガス」よりも広いカジノエリアが作られることが日本でも報道されました。これについて教えてください。
カシミ殿下:施設名は「ウィン・アル・マルジャン・アイランド」。ラス・アル・ハイマの人工島「アル・マルジャン島」で建設が進んでいるもので、UAEのみならず、中東地域でも初となるIR施設です。ゲーミング施設(カジノ)だけでなく、ホテル、高級ショッピングエリア、24のレストラン、ラウンジ、スパ、劇場、マリーナに加え、国際会議に対応するMICE施設なども整備されます。開業は、2027年初頭を予定しています。
永杉:なんともスケールの大きな話です。中東初というのもインパクトがあります。これがドバイやアブダビではなく、ラス・アル・ハイマにできるということで、観光客の流れにも影響を及ぼすことが予想されます。ラス・アル・ハイマ民間航空局として、IR開業をどのように見ていますか?
IR開業を追い風に航空インフラを拡充
カシミ殿下:ラス・アル・ハイマは観光業の発展を非常に重視しており、IR開業以前から多くの投資を行ってきました。それが実り、2024年はこれまでで最高となる60万人以上の旅行者がラス・アル・ハイマ国際空港を利用しました。IR施設開業後は、これがさらに大きく伸びることを予想しており、特に日本、中国、インド、ロシアなどからの観光客が大きく増えると見込んでいます。
これに備え、我々は新ターミナルの建設を進めており、将来的には300万人の乗客に対応できるようになります。IR開業後は富裕層の利用も多くなることが予想されるため、プライベートジェット用のFBO(運行支援事業者)ターミナルも建設しています。他にも、貨物施設、航空機整備士・パイロット訓練センターも整備を進めています。

永杉:では最後に、日本の観光客に向けてメッセージをお願いします。
カシミ殿下:UAEと日本の関係は古く、文化と価値観の両面で多くの共通点があると思います。日本のみなさんがラス・アル・ハイマを訪れて地方の文化や歴史、ホスピタリティなどに触れれば、どこか懐かしさのようなものを感じてもらえるのではないでしょうか。
永杉:昔ながらの文化、豊かな自然、そして開業を控えるIRなど、日本人をひきつける魅力に溢れていると思います。日本人にとってUAEといえば、まずドバイやアブダビを思い浮かべるでしょう。しかし、お話をうかがってみて、ラス・アル・ハイマ首長国はUAE旅行の訪問先として要注目のエリアであると強く認識しました。我々としても、今後に注目していきたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。





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