パンデミックを越えて成長を続けるVFSグローバル。不安定な時代に求められるリーダー像とは?

Executive Dialogue Vol. 16 VFS. GLOBAL ファウンダー & CEO ズビン・カルカリア。Gates Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。

VFS. GLOBAL ファウンダー & CEO ズビン・カルカリア
2001年、VFSグローバルを設立。ビザ申請サポート事業の先駆者として、設立から4~5年でグローバルリーダーの地位を確立。同社は現在、世界70ヵ国の政府から信頼されるパートナーとして、世界的な人々の国境を越えた移動を促進。2015年~17年、当時VFSグローバルが属していたスイス本社のクオニ・グループでグローバルCEOを務める(グループはその後、非公開化を経て複数の独立事業体に分割)。VFSグローバルは、スイスのチューリッヒとアラブ首長国連邦(UAE)のドバイに本社を構え、筆頭株主である世界最大のオルタナティブ資産運用会社、ブラックストーンのポートフォリオ企業。

世界70ヵ国の政府と提携し、国境を越えた人々の移動を支える

永杉:本日は、世界各国の政府からビザ申請や領事業務を請け負うVFSグローバルの創業者兼CEO、ズビン・カルカリア氏にお話をうかがいます。まずは、これまでの経歴と、会社の黎明期についてお聞かせいただけますでしょうか。キャリアのスタートは、歴史あるスイスの旅行会社、クオニ・グループだったそうですね。

ズビン:VFSグローバルは2001年、私がクオニ南アジアにある旅行会社のツアーオペレーション部門のCOOだった時に立ち上げました。当時、インドのような発展途上国で旅行会社を経営していると、ビザの取得が大きな課題となります。期日までにビザが取得できなければ、お客様の渡航手配を進めることができませんので。最初のクライアントはインドのアメリカ大使館でした。

永杉:創業からまだ四半世紀ですが、驚異的なペースで成長してきたとうかがっています。

ズビン:当初はインドの3拠点で年間約10万件の申請を扱っていました。今では70ヵ国の政府と提携し、150ヵ国以上、3600ヵ所以上の拠点で事業を展開し、年間3200万件の申請を処理しています。最初の数年間、成長は緩やかでしたが、政府とビザ申請者双方にとってのメリットが明確になると、我々の事業は飛躍的に成長を遂げました。節目となったのは、英国ビザのグローバル契約の大部分を獲得したこと。これが、真にグローバルな事業とネットワークの発展へとつながりました。

永杉:申請件数で320倍とは、信じられないほどの成長です。ビザ申請数が特に多い国や、人気の渡航先はどこでしょうか?

ズビン:インド、中国、中東、インドネシアといった新興国市場で大きな成長が見られます。また、紛争が勃発するまでは、ロシアとウクライナも我々にとって主要な市場であり、事業は大きく成長していました。
人気の渡航先は市場によって異なります。学生にはアメリカ、イギリス、オーストラリアが常に人気。オフィスの専門職は、EU、イギリス、アメリカがトップの選択肢となっています。医療従事者やエンジニアは中東やEUに向かう傾向があります。観光客はEU、イギリス、アメリカが引き続き人気ですが、ドバイ、日本、シンガポールといった渡航先も人気を集めています。

永杉:特に日本についてお聞かせください。

ズビン:ここ5年で、日本の人気は非常に高まっています。中東からでさえ、誰もが日本に行きたがり、実際UAEから多くのご家族が日本へ旅行しています。日本政府とのパートナーシップは、2010年にタイとインドで開始。今日では17ヵ国で日本政府の業務を請け負い、我々の事業全体で16の政府クライアントにサービスを提供し、日本人スタッフも雇用しています。

パンデミックで大打撃も、わずか3年で黒字回復

中国でのイベントで登壇するズビンCEO。同社は、150ヵ国以上で事業を展開し、拠点も年々増加中

永杉:旅行業界の方に話をうかがうと、どうしてもパンデミックの話は避けて通れません。当時を振り返っていただけますか?

ズビン:我々にとって最も困難な時期でした。この難局に対応するため、人員体制の適正化という苦しい決断を下さなければなりませんでしたね。本当に胸が痛む思いでした。我々は、eラーニングやメンタルケアのプログラムを通じ、既存スタッフのエンゲージメント維持に努め、給与の支払いも継続。また、事業の変革、デジタル化、テクノロジー、そしていかにしてビジネスの将来性を確保するかに時間を費やしました。
我々の回復は比較的早かったと言えます。最大の要因は、株主からの資本注入でした。そのおかげで、2023年には黒字化を達成。現在、売上と利益はパンデミック前の2倍になっています。解雇せざるを得なかったスタッフの多くを再雇用し、今では従業員数も1万8000人にまで回復しています。

永杉:わずか3年で黒字に戻れたというのは見事です。回復のために、具体的にどのような施策を講じられたのでしょうか?

ズビン:パンデミック以前、我々のサービスは主にパスポートとビザの処理業務に特化していました。生体認証登録機能、申請者が選んだ場所からビザ申請を可能にする出張申請サービス、一部市場では提携医療機関を通じたコロナ検査ソリューションなど、お客様と政府クライアント双方にとってのプロセスをよりパーソナライズ化し、快適でシームレスなものにするため、多額の投資を行いました。
パンデミック後には、事業の多角化に着手。我々の強みは、政府からの信頼、広大な情報網、そして各国で事業を運営するノウハウです。そこで、パスポート、医療、認証・証明、そして公共サービスといった、より多くのセグメントへ多角化することを決断しました。

リーダーに不可欠な「冷静さ」と「俊敏性」

永杉:パンデミックは収束しましたが、ロシア・ウクライナ問題やイスラエル・イラン問題など、世界は依然として混沌としています。このような時代に、リーダーはどう対応すべきでしょうか?

ズビン:我々のビジネスにとって最大のリスクは、パンデミックと地政学的な紛争です。ロシアとウクライナは、我々にとって大きな市場でした。地政学的なハプニングは、ときにビジネスを混乱させます。このような状況でリーダーに求められるのは、冷静さとスピード。役員室で議論しているだけではなく、リーダーは迅速に最前線に立ち、冷静さを保ち、素早い決断を下さなければなりません。
残念ながら、絶えず増大する不安定さから、今後も課題は増え続けるでしょう。だからこそ、ビジネスの俊敏性、自社の目的とビジョンへのコミットメント、そして顧客に対する強い当事者意識が、リーダーにとってこれまで以上に重要になると思います。

永杉:今後の事業拡大において、特に重視するポイントは何でしょうか?

ズビン:機密性の高い個人情報を取り扱うということは、政府と申請者からの信頼が最優先事項だということです。そして、その信頼を得るカギは“人材”です。我々の採用基準で最も重視するのは誠実さ(インテグリティ)。スキルは後からでも教えられますので。同様に重要なのが、テクノロジーです。顔認証や指紋認証といった生体認証技術の活用を進めており、サイバーセキュリティやGDPR(EU一般データ保護規則)への対応にも多額の投資を行っています。技術開発には年間1億3000万ドルを投資しており、AIには別途、先行投資をしてきました。
さらに、我々はCSRを非常に重視しています。私を含め全従業員が、ボーナスの7.5%をCSRの成果と連動。目標が未達の場合は、同率のボーナスがカットされるのです。ここまで徹底している企業は少ないでしょうね。我々のCSR活動は、単なる寄付ではありません。若者たちへのエンパワーメント、地域社会への貢献、ボランティア活動といった取り組みを通じ、事業を展開する国々の地域社会に貢献する活動に重点を置いています。

オーストリア工科大学とVFS教育サービスとの契約調印式。グローバル企業らしく、CSR活動にも注力している

永杉:素晴らしい理念です。世界の平和と安定なくして、人々が国境を越えて自由に行き来する機会は減ってしまいます。貴社の貢献が事業の継続的な成長を支えることになると信じています。本日は誠にありがとうございました。

永杉豊。Gates Media FZCO CEO。UAE・ドバイ在住。UAEのビジネスおよび観光情報に特化したメディアを運営し、バイリンガル月刊情報誌『Gates Dubai』をUAEと日本で発行。オンラインメディアでは日本語・英語・アラビア語の3言語で情報を発信している。「日本人だけが知らない砂漠の経済大国UAE・ドバイ」における日本のプレゼンス向上と、日本国内でのUAE理解促進を目指し、日本、米国、ミャンマーに続き、2023年10月にUAE現地法人を設立。

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