日本国政府代表 中東和平担当特使 上村司(後編)「UAEは進出先として多くのメリットが存在する」

Executive Dialogue Vol. 10 日本国政府代表 中東和平担当特使 上村司氏。Gates Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。

1957年大阪府生まれ。81年東京大学法学部第Ⅲ類卒業。同年外務省に入省し、中近東第一課に配属。在シリア大使館、在エジプト大使館、在アメリカ合衆国大使館勤務を経て、領事局長、中東アフリカ局長などを務める。在サウジアラビア大使を最後として、2021年に外務省を退職し、中東地域の諸問題に対応する日本政府代表(中東和平担当特使)に就任。23年に発生したガザ危機においても中東諸国を訪問し、問題の解決にあたっている。

査証免除などUAEと日本の関係は深くなっている

※前編はこちら
永杉:では、日本とUAEの関係についてお聞きします。現在の二国間関係をどのように見ていますか。

上村:両国の関係は近年ますます深まっていると感じます。具体的には、査証免除がその一例。2022年11月から、日本とUAEは短期滞在に限り、相互に査証免除となりました。実はこの話の発端は私が外務省の領事局長の頃に遡ります。UAE政府は日本とエネルギー以外の分野でも幅広く関係を構築したいと考えており、両国の交流を深めるために、査証免除を進めたいという強い要請を受けたのです。今から10年以上前のことですが、その頃からUAEは日本をより重要なパートナーと考えてくれているようでした。

他には経済面の枠組み構築も進んでいます。最近の両国間関係の基本文書となっている「包括的・戦略的パートナーシップ・イニシアティブ(CSPI)」、昨年交渉の始まった「経済連携協定(EPA)」など、よりビジネスをしやすい環境作りが次々と進んでいます。こうした動きは2022年の国交関係樹立50周年以降、特に加速したように感じます。

永杉:最後に、UAEへの進出を考えている日系企業に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

2019年10月、サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相と

日本政府の支援は日系企業への大きなサポートとなる

上村:UAEは異なる価値観に対して寛容な姿勢を持っているため、ビジネスのやりやすい国だと思います。さらに申し上げたように、CSPIやEPAなど、国家ぐるみでビジネスをバックアップする枠組みが整い始めています。このことを日系企業の皆さんには「得」と考えてもらいたいです。こうした枠組みができると、ビジネスは格段にやりやすくなります。

例えば、トラブルや、ブレイクスルーが必要などの困難に直面した場合、これまでは企業の個別案件として解決するしかありませんでした。しかし、CSPIなどの枠組みが整えば、企業のビジネス上の問題が両国トップの政治対話の議題に上がり、経産大臣や外務大臣なども巻き込んで、よりスムーズに問題の解決に向かうことができます。日系企業にとって大きな助けになるのは間違いありません。

永杉:外国におけるビジネスはトラブルと表裏一体ですから、こうした枠組みが整ってビジネスの障壁が少しでも低くなることは、企業として大歓迎です。ガザ危機は一時的な停戦で今後も状況を注視する必要はありますが、やはりUAEという国は日系企業の進出先として非常に魅力的な場所であるという思いを新たにしました。本日はお忙しい中ありがとうございました。

永杉豊。GATES MEDIA FZCO CEO、アラブ通信社代表取締役。学生時代に起業、米国永住権取得後、ロサンゼルス、上海、ヤンゴン、ドバイに移住し現地法人を設立。ミャンマー問題に精通した専門家として多数のテレビ番組に出演する。クーデター後のミャンマー困窮者と民主化支援のため2022年にNPO法人ミャンマー国際支援機構を安倍昭恵氏や逢沢一郎衆議院議員らとともに設立、代表理事に就任。2023年度社会貢献者表彰を受ける。主な著書に「ミャンマー危機」(扶桑社)。

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