ドバイ人材採用の実践ガイド②人材紹介会社に聞く“採用のリアル”、現地日本人シェフの実情
※「ドバイ人材採用の実践ガイド①具体的な方法、東京海上の現状、飲食店のケース」はこちら
なかなか上がらない日本の給与や増税が続く現状から、ドバイで働きたいというニーズが増えてきている。では、どういった人材がドバイで求められるのか? 人材紹介会社のリーディングカンパニーであるパーカーコネクトの創業者や、実際にドバイで働く日本人シェフに話を聞き、現状を教えてもらった。
ドバイの人材紹介業界をリードするパーカーコネクトに聞いた“採用のリアル”
ドバイの採用市場を知る。質の高い人材を見つける方法とは
1,000社以上の企業と取引があり、50万人超の求職者候補者を有するパーカーコネクト。LinkedInフォロワー36万人を誇る同社は、ドバイの人材紹介業界での先駆者としての地位を確立し、さまざまなポジションの人材採用を支援してきた。採用プロセスから平均給与まで、人材に関する実情を聞いた。
Q:まずは会社の概要から教えてください
パーカーコネクトは2011年にドバイで設立した人材紹介会社です。我々は、UAEのリーディングエージェンシーの一つであり、1,000社を超えるクライアント企業、5,000人以上の紹介実績、LinkedInフォロワーは36万人以上です。設立当初から日系企業とお付き合いがあり、大手自動車会社、メーカー、メガバンク、商社などの顧客をサポートしてきました。受付担当からエグゼクティブに至るまで、あらゆる役職の採用を支援しています。
Q:どのように候補者を選定しますか
質の高い候補者を選定するために慎重なプロセスを行っています。まずは企業から詳細な職務記述書(Job Description)をいただき、候補者が求められるスキルや役割を正確に把握。その後、経験豊富なリクルーターが内部のデータベースや求人サイト、プロ同士のネットワークなどのチャネルを活用し、候補者をピックアップ。面接では、質問を通じて候補者の適性を正確に評価し、リファレンスチェックも行った上で、長期的に働ける人材かどうかを見極めます。
Q:ドバイの雇用市場で評価されるスキルや資格は何ですか
学歴とソフトスキル、実務経験が非常に重視されます。学士号は重要な指標となり、修士号を持つことはさらに有利となります。また、コミュニケーション能力、人間性、交渉力などのソフトスキルは、技術的な専門知識と同等、それ以上に重要視される場合もあります。
Q:求職者の視点から、人材紹介会社を利用する利点は
最大の利点は、信頼性と効率性です。紹介会社は複数企業と契約しており、求職者に合った案件を迅速にマッチングできます。また、直接応募と比べて、人材紹介会社経由は適切な仕事に就ける可能性が50%以上高まります。
Q:一方、企業側が人材紹介会社を利用するメリットは
求人情報を公開すると、多くの応募が集まりますが、その中から最適な人材を選別するのは非常に時間がかかります。弊社では、応募者をスクリーニングし、最適な5~7人を企業に提案することでプロセスを効率化します。日本人の候補者5人を1週間で採用につなげたケースもあります。
ドバイの平均給与とは?どのようなスキル構築が有効か
Q:どういった業界やポジションが高い給与となりますか
高給与のポジションは、業界や企業規模、役職、経験によって異なります。セールス、エンジニア、物流、法務、財務、IT分野の給与は高い傾向にあります。また、デジタル関連の職種も需要が高いです。
Q:社会人経験5年と15年の平均月収は
経験5年のスタッフは約15,000AED、15年のエグゼクティブクラスは約25,000AEDが一般的です。ちなみにエントリーレベルの給与は10,000AEDほど。ただし、業界、企業規模、スキルによっても大きく異なります。15年間の経験を持つ場合、50,000AEDを超えるケースもあります。
Q:給与を上げるためには、どのような戦略やスキル構築が有効ですか
自分のスキル不足を特定し、改善することが重要。スキル構築は、自己負担で行う場合もあれば、勤務先が負担する場合もあります。また、ITスキルやソフトスキル、言語スキル(英語やアラビア語)を強化することがおすすめです。
Q:エージェント手数料はいくらでしょうか
ドバイでのエージェント費用は、年収の15%から25%が一般的です。ただし、弊社は日系企業をはじめとするクライアントと長期的な関係を重視しているため、競争力のある価格を設定しています。
ドバイで働きたい人は必見。人材採用の現状を解説
需要が高い産業や職種とは?
経済が成長しているため、建設業やインフラ分野、小売業、物流業、ホテル業界の人材需要が高い。一方、UAEは世界中の人材が集まるグローバルハブであり、求職者の供給が常に豊富。ある人材紹介会社によると、コロナ禍以前は1つの求人に対して100~150人の応募が、現在では500~800人に達することも。そのため、人材市場は”買い手市場”と言える。
国籍で給与が異なる?
結論としては、YES。日系企業では比較的均一な給与体系が採用されることが多い一方、他国の企業では国籍によって異なる給与が設定される場合がある。そのため、同じ役職であっても国籍に応じた給与格差が生じることも発生する。
日本人採用の現状とは?
フィリピンやインド、イギリスなどの移住者と比べて、日本人の数は限られており、自ずと採用枠も少ないため、簡単ではない。また、日系企業は採用前に直接会うことを希望するため、さらにハードルが高くなっているのが実情。ただし、仮に2ヵ月間ドバイに滞在し、人材紹介会社に登録するなどの求職活動をすれば、適切な仕事を見つけることは十分に可能。
広がる世界への挑戦。日本人シェフが語るシンガポールからドバイまでのキャリア
日本の厨房を飛び出し、世界へ挑戦した日本人シェフ。その報酬や労働環境は桁違いといった報道が日本のメディアを騒がせているが、実際はどうなのか? 海外で得られる経験とは? 植田氏の実体験を通じて、その現状を紐解く。
元々日本の居酒屋などで経験を積んだ植田氏は、23歳で「もっと世界を見たい」との思いから、英語力ゼロの状態ながらもシンガポール行きを決意。当初は言葉や文化の違いに戸惑いながらも運営や仕入れ、コスト計算など、日本とは異なる環境で多くを学んだ。
労働環境や待遇の違いにも驚きがあった。週休や有給休暇が当たり前に整備され、引っ越し費用や家賃補助など手厚いサポートもあった。さらに、給与交渉が一般的であり、植田氏も希望を伝えることで、自身の価値を改めて認識するきっかけを得た。
シェフの給与とは?サービスチャージや福利厚生が充実
その後、モロッコやカンボジアなど複数の国で経験を重ね、コロナ禍では日本で自身の料理店を開き、成功を収めたが、「さらなる挑戦」を求めて再び海外・ドバイへ向かう。
現在、植田氏はラグジュアリーレストラン・Zenon Dubaiで和食担当を務める。500席以上のクラブイベントも開催されるような大規模店舗。日本人は植田氏一人であり、月給はベースの2万AED+サービスチャージの分配や家族ビザなどの福利厚生が加わり、家族と共に安心して暮らせる環境が整っている。ちなみに、外資系レストランのエグゼクティブシェフの場合は、3万5,000AEDといったケースも一般的だという。
植田氏は「まずは挑戦してみること」を海外を目指す人々にすすめる。新たな環境で得た経験が、自身を大きく成長させるきっかけになると語った。
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