ドバイで不動産開発を行うSULTAN INVESTMENTS。高級アパートの建設、日系企業の可能性とは?

Desert Icons Vol. 3 Mr. Sultan M. Hareb Al Falahi(スルタン・ハレブ・アル・ファラヒ / CEO, SULTAN INVESTMENTS LLC.)。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。

ドバイで多くの不動産を開発。2028年に超高級アパートを完成

--まずは事業について教えてください
 1992年に設立したスルタン・インベストメンツ・グループは、不動産開発、仲介サービス、契約業務、資産管理、請負業務、ビジネスセンター運営などを行っています。ウェブサイトは現在改築中ですが、Facebookで「Sultan Investments」を検索すると公式ページが表示されます。コアビジネスは不動産開発で、大きな案件で言えば、ビジネスベイにあるThe Bay Gate Towerの開発・運営、今年は高級アパートの建設を予定しています。同アパートは1フロアに1ユニット、面積は平均12,000平方フィートで、庭やプールを備えたヴィラスタイルの豪華な住宅。12月に着工し、2028年の完成を目指しています。

--各事業の売り上げ比率はいかがですか
 90%が不動産関連で、残りの10%。建設以外では、例えば、S-MOTORという新車の卸販売事業があります。この事業はBtoBモデルで、UAEで売れ残った自動車を中東、アフリカ、欧州などの海外向けに販売しています。海外市場では信頼できるディーラーを見つけることが困難であり、当社がその役割を果たすことで安心を提供する、いわば“ニッチビジネス”です。

1970年生まれ、ドバイ出身。1988年にプロの写真家としてキャリアをスタートし、アルバヤン新聞で政治、スポーツ、芸術、文化、ビジネス分野のニュースや、国内外の重要イベントを取材。91年にメディア会社を設立し、ドバイ市やDIMCといったクライアントに向けの書籍や雑誌の制作に関わる。94年にスルタン・インベストメンツを設立。CEO兼主要株主として、不動産開発、ホスピタリティ、産業、ビジネスサービスといった分野で企業を牽引し、戦略的投資を進めている。熱烈なスポーツファンとしても知られ、特にサッカーへの情熱は深い。アル・ワスル・スポーツ・クラブの理事として地元の人々がスポーツに参加する機会を増やすための活動に尽力。また、不動産分野における消費者権利の擁護者としても活躍し、2004年から2014年までドバイ市議会のオーナーとテナント間の紛争を解決するための特別司法委員会のメンバーを務めた。

--ちなみに、どのような自動車を所有していますか
 日産のPatrolです。日本製品は非常に高品質で、特に日産車はコストパフォーマンスが高い。雨に強く、耐久性に優れており、砂漠での運転にも適しています。また、UAEのムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領も同じ車を利用されていますので、私も同じ車を選ぶのは当然です(笑)。

--日本に対する造詣が深いと聞きました
2008年に初めて日本を訪れてから、日本は常に私の旅行先候補のトップであり、毎年訪れています。また、2008年からドバイの「いけばな小原流」の支援もしています。

日系企業の進出は歓迎。ユニクロや楽天は成功する

--どのような日本製品が中東で支持されると思いますか
ご存知の通り、すでに自動車や電化製品には高い信頼性がありますが、私が考えるのは、食品や化粧品などの分野での市場拡大を望んでいます。私自身、日本製のシャンプーなどの日常生活用品を愛用しています。

--日本の有名なサッカー選手とも知り合いとのことですが、どのような経緯でしょうか
 ドバイシティFCというサッカークラブを運営しています。2年前に日本人選手がクラブに加入したことから、日本のサッカー関係者とのつながりができました。サッカー業界は横のつながりが強く、さまざまな方を紹介していただけます。

ドバイを代表するビジネス街“ビジネスベイ”の駅から徒歩8分という絶好のロケーションにある「Bay Gate Tower」。スルタングループで開発し、ビジネスセンターも運営

--日本でのビジネスを考えていますか
 不動産開発やビジネスセンター運営、スポーツ関連には興味があります。東京は世界でも有数のメガシティであり、マーケットの安定性が高いです。安定した経営は非常に重要。ただし、日本にはすでに優れたサービスがあるため、高品質を提供することが求められます。ほかには、ハイエンドサービスにもチャンスがあると見込んでいます。

--最後にドバイで起業を考えている日本人にアドバイスをお願いします
 UAEは治安が良く、ドバイは中東のハブとして機能しています。また、ドバイからアフリカやヨーロッパへの市場アプローチが可能で、非常に高いポテンシャルがあります。UAEに日系企業が進出することは歓迎されるでしょう。ユニクロや楽天のような大手企業が進出すれば、大きなシェアを見込めます。以前は現地企業とのパートナーシップが必要でしたが、現在は不要であり、もはや進出しない理由はありません。
 また、UAEと日本の交流が盛んになることも期待しています。日本の航空会社がUAEに就航すれば、UAEからも多くの人々が日本を訪れるでしょう。北海道などUAEではまだあまり知られていない素晴らしい都市もありますし、両国間の行き来がさらに増えることを願っています。

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