ドバイ起業・完全ガイド⑥会計士が語る起業時の注意すべき点「免税対象でも法人税登録は必須」

起業時に最初に直面する問題がVAT。会計の注意点をピックアップ

ドバイの会計で最初に注意すべき点は、5%の付加価値税(VAT)。今後は法人税も導入されるが、具体的な運用は今後であり、進出したばかりで気をつけるべきはVATの問題。KPMGの会計士・笠間智樹氏に、進出時に起こりうるポイントを解説してもらった。

笠間智樹(KPMG Lower Gulf Limited Dubai office, Partner)

仕事用? 私用? 控除目的は明確に

経費の控除対象について、日本と違う点は、純粋にビジネス目的で使用した項目しか適用されないということ。日本の会計では、通信費やガソリン代、家賃など一見、仕事用なのか、私用なのかわからないときでも控除対象とすることができるが、UAEでは認められないケースがある。経費に対する基本的な考え方は日本と同様だが、使用目的を明確に説明できるようにしておくことが重要。

VATの登録番号がなければ請求できない

進出したばかりのときには、VATを請求することができない。VATを請求するためには、当局への登録が必要となり、その上でインボイスに登録番号を明記することで請求が可能となる。登録対象とは、過去12ヵ月の間に、37万5,000AEDの売り上げがある事業者だが、任意で17万AEDを超えることが見込まれた時点で登録申請ができる。もし、登録番号がないまま請求していた場合、被請求側も控除ができなくなるので要注意。

VATの登録手続きはお早めに

進出したばかりだと、キャッシュフローが重要となるのは誰もが知るところ。VATは当然ながら最初は支払うばかりで、後に控除できる仕組み。そうした認識がないまま、時間が経ってしまい、申請が間に合わないケースが結構あるという。早めにVAT登録しておけば、そうした心配も皆無なので、早めの手続きが大切。ちなみに還付されるまでの時間は、ケースバイケースだが、控除されないということはないので安心してほしい。

ライセンス更新の際に会計監査が必要

企業の規模の大小に関わらず、毎年の事業ライセンス更新の際に会計監査を要求されることがある(フリーゾーンによっては不要なところもあるため、確認必須)。そのため、KPMGのような会計事務所にお願いする必要があり、当然費用がかかるため、あらかじめ予算に組み込んでおきたい。

仮に免税対象でも法人税登録は必須

UAEメインランドでは、37万5,000AED以上の場合は売り上げのある事業者に対して、9%の法人税がかかることが決定し(中小企業は免税処置あり)、全事業者の法人税登録が必須。2024年3月1日以降にライセンス登録した企業は、3ヵ月以内に法人税登録しなければならない。仮に免税対象の企業といえど、法人税登録は全企業に対する義務であり、仮に登録が遅れてしまうと、1万AEDの罰金となるため、注意してほしい。

今回は、ドバイ起業時に起こりうる会計面での注意点について解説した。Gates of Dubai Vol. 3では「ドバイ起業・完全ガイド」を特集。法人登記から銀行口座開設、オフィス探しのポイントや法律・会計の注意点、ドバイ起業“あるある”まで充実の内容となっている。下記より閲覧可能。

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No. 2 「フリーゾーン」特集。ドバイ進出を考える上で最重要キーワードとなるフリーゾーンを掘り下げ、メリット・デメリットやフリーゾーンマップ、フリーゾーン“あるある”など重要な情報を網羅 / 駐アラブ首長国連邦 磯俣昭男 特命全権大使インタビュー〜官民にわたるUAEと日本両国の交流を主導。就任3年目を迎えた大使

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