「再発明」を怖れずに未来を作る。ドバイが後押しする家族企業の変革。Jacky’s Group・パンジャビ氏インタビュー
Executive Dialogue Vol. 17 Jacky’s Group of Companies COO アシシュ・パンジャビ。Gates Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。

米バブソン大学卒業後、ロンドン・ビジネス・スクール、スタンフォード大学経営大学院のエグゼクティブ教育プログラム、EOリーダーシップ・アカデミーで学ぶ。現在、Jacky’s Group of CompaniesのCOOとして、ロボット、家電小売業、オーガニック食品など多様な事業に携わるほか、複数の業界団体・起業家支援組織でも活躍。講演やメンタリングを通じてUAEおよび中東地域の経済発展に貢献している。
外交官向け通販から始まった同族経営企業のグローバル戦略

永杉:今回は、ロボット、家電小売業、グラフィックソリューション、そしてオーガニック食品など、先進的かつ多角的な事業を多数展開することで知られるUAE企業、ジャッキーズ・グループ・オブ・カンパニーズのCOO、アシシュ・パンジャビさんにお話をうかがいます。まず最初に、御社の歴史から聞かせてください。
パンジャビ:父と叔父が1970年7月に香港で会社を立ち上げたので、先日ちょうど55周年を迎えました。祖業はカタログ通販ビジネスで、主に世界中の大使館員や国連職員など外交関係者をターゲットに据えていました。例えば、インドやベトナムなどの国に出向している外交官がいるとします。当時彼らがその国の店舗で外国製の商品を手に入れようとすると非常に高い関税が課せられました。
しかし、彼らは、一定の条件下で関税や税金が免除される制度があるため、それを活用して各国の外交関係者に外国製商品を無税で直接販売する事業を行っていました。取り扱い品目は幅広く、文房具や家具、4WD車などあらゆるものを取り扱っていました。70年代から80年代くらいの香港は、こうした事業を行うのに理想的な場所だったのです。
85年から出荷の拠点を香港からドバイに移すことになりました。多くの商品が手に入り、物流的にもアフリカ、旧ソ連、インドなどへのアクセスが良かったためです。このビジネスは好調に推移し、ロシアのほか、ケニアやタンザニアなどアフリカ諸国にも現地オフィスを構えるまでになりました。
永杉:現在は通販ビジネスは行っていないですね?
パンジャビ:通信販売はもうやっていません。70~90年代はこのビジネスが成り立っていましたが、現在は多くの国で外国資本の製品が現地生産されており、必要がなくなったからです。当時展開した海外拠点は現在、別の業態に変更しています。例えば、アフリカではソニー、東芝、パナソニック、日立、富士フイルム、キヤノン、ニコンなど、数多くのブランドの正規代理店や取引先として活動しています。
進取の気風と多様性がドバイでの挑戦を後押しする

永杉:ドバイについてお聞きします。85年に第二の出荷拠点としてドバイオフィスを開設し、96年には本社機能を香港からドバイに移したと聞いています。ドバイを拠点にビジネスを行うメリットは何だと考えますか?
パンジャビ:ドバイは伝統もしっかりと守られていますが、一方で世界でも類を見ないほど進取的な気質を有しています。こうした土地では、新しいことに躊躇なく挑戦することができます。これはドバイに本社機能を構える大きな理由と言えるでしょう。
そしてもう一つは、人材面です。当社はファミリービジネスからスタートし、今も我々一族が経営を担っていますが、社員には多くの裁量が与えられ新しいアイデアや挑戦をすぐに実行できる企業風土を持っています。
同じ国籍で固まっていると、アイデアが硬直化することもありますが、ドバイではその心配がありません。コロナ以降、より多くの国籍の人々がドバイに移住してきており、彼らを採用することで社内に多様な考えが生まれ、ビジネスの可能性を広げることができます。これは、ドバイでビジネスを行う非常に大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
永杉:現在、従業員の国籍は何ヵ国くらいになりますか?
パンジャビ:正確な数は把握できないほどです。今思いつくだけでも、インド、パキスタン、フィリピン、エジプト、シリア、アフリカ諸国、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンなど、あらゆる国籍の従業員がいます。
永杉:現在ジャッキーズ社は家電やオーガニック食品販売、グラフィックソリューションなど幅広い分野に進出しています。その中で、特に日本企業との関わりが深い分野を教えてください。
パンジャビ:先ほどもお話ししましたが、アフリカでは多くの日本ブランドの正規販売代理店として活動しています。一方、中東地域では近年、ソフトバンクロボティクスとの関係が特に密接です。ドバイでは8年ほど前にPepperの供給を開始し、現在は中東全域のディストリビューターとして活動しています。当初海外にはPepperの修理センターがフランスのパリにしかありませんでしたが、2番目にできたのがドバイなんです。
また、ソフトバンクのその他のロボットも取り扱っており、清掃ロボットの「Whiz」も商業施設等にセールスをしています。今後、ドバイの多くの場所でロボットが活躍している姿を見られるのではないでしょうか。
ビジネスの選定基準は「誰かの人生をより良く」
永杉:香港における通販ビジネスからスタートし、今では世界中で多角的なビジネスを行う企業に成長しました。会社または経営者としての今後の展望を教えてください。
パンジャビ:将来どのような分野に進出するかという点は無数の選択肢があるため、ここで何か一つを挙げることはできません。しかし、私が常に念頭に置いている言葉は「Reinvent(再発明する)」です。同じビジネスに固執していては55年にわたり築き上げてきた信頼を維持することはできません。時代の変化に対応し、時には古いビジネスかの清掃は人間が丹念に行い、それ以外はロボットが効率よく清掃を行う。そうすれば、その空間はより良いものになります。そんな風に、私達の暮らしによりポジティブな影響を与えるビジネスが、ロボット事業だと考えています。
「国家やコミュニティ、家族、そして長年ともに働いてきた仲間たちに良いものをもたらせるか」。今後、どのような分野に進出するとしても、この考えは中心に据えておきたいと考えています。

永杉:新たなビジネスへの参入は大きなリスクもあり、簡単ではありません。しかし、パンジャビさんのように「価値ある変化」を恐れず、社会との調和を重んじながら挑戦を続ける姿勢は、これからの時代を切り拓く企業にとって欠かせない指針になるように感じます。そして、ドバイという地は、その挑戦をサポートしてくれる場所であると改めて認識できました。
本日は貴重なお話をありがとうございました。





Gates Dubaiの広告
ドバイでビジネスを拡大!
日本でもビジネスを周知
お問い合わせ



