ドバイで日本酒、日本茶の拡大に尽力。WSET(日本酒の資格)コースも提供

Viktoryia Toma(Founder & CEO, Ikigai-shu)。Blue Zone Kingdom Group、Ikigai-shu、Blue Zone Kingdom General Tradingの創業者。日本酒やお茶など厳選された日本製品の輸入、小売、販売促進を専門とする中東市場における第一人者としての地位を確立。中東で唯一の WSET Award in Sake 資格認定講師であり、日本酒に関する複数の専門資格を取得。また、国際日本茶協会 (京都) の公式代表でもあり、All Nihoncha Awards コンペティションの審査員も務める。旗艦店である Ikigai-cha では、日本茶や陶器を販売するほか、さまざまなイベントやマスタークラスを開催している。

Desert Icons Vol. 9 Viktoryia Toma(ヴィクトリア・トマ/Founder & CEO, Ikigai-shu)。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。

日本の飲料文化を世界へ:魅力と挑戦、そして未来

日本人でも圧倒されるほどの豊富な種類の茶器やお茶が置かれている旗艦店。ビクトリアさんの日本茶や日本酒に対する知識にも驚かされる

--日本の飲料文化をビジネスにした理由を教えてください
 24年以上にわたり日本文化への愛情を育み、その豊かさと多様性に魅了されたことがきっかけです。日本文化の深みや奥行きに惹かれ、特に食文化や飲料文化を探求したことがビジネスの出発点となりました。

--日本の飲食文化における特徴や敬意を感じた点とは
 素材の特性を最大限に活かし、素材本来の味を引き立てることに特化している点に感銘を受けます。椎茸を煮込むなど、シンプルな手法で“ウマミ”を引き出す製法や、鰹節や昆布といった最高品質の素材へのこだわりが特徴的だと感じています。リピーターを飽きさせないように改善しています。

--日本の飲料文化をどのように伝えていますか
 UAEにおける日本茶協会の代表として、日本茶の基礎から中級レベルまでのコースを提供しています。また、WSET(Wine & Spirit EducationTrust)の日本酒資格プログラムも運営し、受講者に深い知識と認定資格を提供。これらのプログラムでは飲料の歴史や製造プロセスを学びながら、実際の体験を通じて理解を深めることができます。さらに、毎月のマスタークラスや特別イベントを定期的に開催しています。

--日本酒や日本茶のトレンドと嗜好を教えてください
 この15年間で日本酒は年々人気が高まっています。私がドバイに来た当初は、日本酒を提供するレストランは少なく、「熱燗」や「冷酒」といった選択肢しかありませんでした。しかし、日本酒の種類が多様化し、ブランドや地域にこだわる消費者も増えています。一方、日本茶はまだ始まりの段階ですが、日本酒の成功例を参考に広めていけると信じています。特に、日本の地域ごとの茶葉の多様性や抹茶以外の日本茶品種を広めることに注力しています。

新たな視点で切り拓く日本酒・日本茶の可能性:戦略とパートナーシップ

--日本酒や日本茶を普及させるためのマーケティング戦略とは
 私たちの戦略は「新幹線マーケティング」と呼んでいます。既存のプロセスを改善するのではなく、新しい視点で取り組むことが特徴。例えば、日本茶を「茶道」だけでなく、地域の多様性をPRし、お茶を出すときのプレゼンテーションも工夫しています。また、抹茶や煎茶だけでなく、ウーロン茶や紅茶などの魅力を紹介し、日本茶は緑茶だけではないという認識を広げてきました。さらに、茶器や陶器、音楽とのペアリングイベントを通じて、より多くの人々に日本茶文化を体験してもらっています。

--パートナーシップ戦略をどう捉えていますか
 販売のために商社と協業するというよりも、生産者と直接対話することを重視しています。生産者と直接関わることで課題や生産サイクルを深く理解し、より良い関係を築くことができるからです。春にはお茶、秋には日本酒の生産現場を訪問し、醸造年や収穫状況について話をします。例えば、家族経営の生産者と協力することで、製品価値を消費者に伝える際に説得力が増すと信じています。

--今後の展望について教えてください
 新しい市場への進出や製品カテゴリーの拡大が長期的な目標です。「Ikigai-Shu」は日本の飲料文化を中心に「Blue Zone Kingdom」では幅広いカテゴリーを扱ってきました。それぞれ異なる専門分野を持ちながら、すべて日本文化の魅力を広めることに貢献しています。今後はますます日本と中東、さらにはグローバル市場を結びつける重要な架け橋としての役割を果たしていきたいと考えています。具体的な計画については、ホームページなどで詳しくお伝えする予定です。

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