ドバイビジネスでの会計を解説〜経済特区とVATの低税率が示すUAEの魅力とは?
Desert Icons Vol. 1 Mr. Mohammad Zamani(モハメッド・ザマニ / KPMG Lower Gulf Limited, Partner, Audit)。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。
UAEにおけるKPMGの多角的サービス展開
--UAEではどういったサービスを提供していますか?
当地では、UAEのみならず、オマーンもカバーしており、提供するサービスは主に3つのカテゴリーとなっています。監査、税務、アドバイザリーがあり、そこには経営コンサル、リスク・コンプライアンス、企業間取引でのアドバイスなども含まれます。KPMGは、UAEでの設立から今年で52年目にあたり、長期に渡り、この地で企業や団体に貢献してきました。
現在、ドバイで注目されている分野としては、ESG(環境・社会・ガバナンス)分野があります。これには、保証業務とESG事業の実施に関するアドバイスが含まれ、持続可能な成長が成功の鍵と捉えています。
--業種は何を担当していますか?
私の主な職務は、監査担当とエミラティ(アラブ系自国民)スタッフのマネージメント業務です。
--どういったクライアントが多いのでしょうか?
守秘義務の観点から具体名を挙げることはできませんが、金融サービス、リスク管理、テクノロジーなどに関する企業が多いです。特に、この地域では日本の企業数が数年で増加し、事業展開のためのサポートをしています。そのため、KPMGでは「ジャパンデスク」を設置し、日本企業のサポートに注力しています。
経済特区とVATの低税率が示すUAEの魅力
--他の国々と比較し、ドバイの税制でユニークな点はありますか?
ご存知の通り、ドバイは中東貿易の中心地として、世界中から人々やビジネスを引き寄せる経済大国として知られています。旧来のビジネスと新興のビジネスの双方にとって魅力的なエリアであり、多くの国々と比較してユニークな税制を持っています。
まずは、複数の経済特区(フリーゾーン)があり、政府は一定の条件を満たすことを条件に、法人税を一部免除することで進出しやすい環境を整えています。そのため、UAEで新しいビジネスを立ち上げる企業は、オンショアかフリーゾーンかを慎重に判断する必要があります。
また、2018年に導入された付加価値税(VAT)は、商品やサービスの供給に対して5%の標準税率が適用されており、これは世界でも最も低いレベルの税率です。これは、UAEが進歩的な財政政策に取り組んでいることを示していると言っていいでしょう。UAEは、ビジネスをする上で魅力的な地域であり、税制の近代化とグローバルな税制基準を反映しています。
--税務での問題は何でしょうか?
新しい税制への対応であり、注目すべきは、法人税です。法人税はこれまで存在しなかったため、各企業が細かい舵取りをしながら、準備する必要があります。とはいえ、年間収益が300万AED未満の中小企業(SME)には免税措置が設けられ、多くが納税の負担を負うことはありません。
UAEにおける法人税の導入は、長期にわたり税制のない国からの重要な転換点を示しており、収入源の多様化と炭化水素への依存度の低減を目指すUAE政府の戦略的な動きを意味しています。
法人税がアップデートされることで、企業にとってはガイドラインに関する適切な情報を入手することが求められますので、KPMGのような専門家によるサポートが必要となると感じています。
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