言葉を超える魔法。ドバイの夜を魅了する、日本唯一の和妻マジシャン

Desert Icons Vol. 21 プロマジシャン 鵜飼 太士。砂漠の都市からグローバルハブへの進化。ドバイの発展を牽引するキーパーソンに迫り、彼らの革新と成功の秘密を探求する。
ドバイの夜を彩る「和」の魔法
--なぜ未知の市場でもあるドバイを活動拠点に選んだのでしょうか?
鵜飼 初めてドバイを訪れた際、エンターテインメントが非常に盛んな街である一方で「マジシャン」という存在がまだ少ないことに気づきました。しかし、その反面、ドバイでは日本以上にイベントの数が多く、企業イベントからホームパーティーまで規模や形式も非常に多様です。まだ確立されていない市場だからこそ、自分の存在価値を打ち出せると感じたことが、ドバイを選んだ大きな転機でした。
--200年以上の歴史を持つ「和妻」とはどのようなものでしょうか?
鵜飼 和妻(わづま)とは、日本に古くから伝わる日本独自の奇術・手品のことです。江戸時代から独自に発展してきた表現文化で、使用する小道具も、和傘や狐のお面、和紙など、日本的な意匠が特徴です。トリックや仕掛けの構造を重視する西洋マジックとは異なり、和妻は「間」や所作、美意識といった、日本の伝統的な演芸文化を大切にしています。その価値は高く評価され、日本の伝統芸能として無形文化財にも指定されています。

--和傘や狐の面を使った幻想的な世界観に対し、UAEの方々はどのような反応を示しますか?
鵜飼 和妻の舞台ではタキシードやシルクハットではなく、袴などの和装でステージに立ちます。その姿を目にした瞬間に、西洋のマジシャンとは明確に異なる特別な存在感を感じていただけるようです。実際によくいただく感想は「今までに見たことがない、唯一無二のパフォーマンスだった」という言葉です。演目の内容だけでなく、衣装や所作、空気感そのものが新鮮に映っているのだと思います。
唯一無二のマジシャンが仕掛ける驚きと戦略
--視覚だけで驚きを共有できる「非言語コミュニケーション」としてのマジックの強みをどう感じていますか?
鵜飼 言葉を使わなくてもサプライズを体感してもらえるという点は、第一言語が英語ではない自分にとって大きな強みであり、追い風だと感じています。特にステージマジックでは客席との距離がある分、会話というよりも「表現」を通して感じてもらう世界になります。そのため演出や動き、タイミングなど、自分側に一切のミスが出ないよう、細部まで神経を使っています。
--宗教や文化の違いから意識している点や、気をつけていることはありますか?
鵜飼 小道具としてシャンパンボトルを使わないなどの宗教的な背景への配慮が欠かせません。また、文化的なマナーとして、異性との身体的な接触にも細心の注意を払っています。過去にコインを手渡そうとした際に、女性の手に指が触れかけたことで注意を受けたことがあり、それ以降は、指先が触れないよう意識するようになりました。さらに、ポーカーやギャンブルを連想させるマジックについても、会場によっては控える判断をしています。

--ドバイで生き残るための「差別化戦略」は何ですか?
鵜飼 常に意識しているのは、「唯一無二のパフォーマーであること」です。自分にしかできない表現を持ち、他と比較されない存在であることは、競争の激しいドバイにおいて非常に大きな武器になります。その点において、マジシャンであること、日本人であることは、自分の強みを最大限に活かせる要素だと感じています。一方で、場合によってはジャケットを着たスタンダードなスタイルの方が、求められることもあります。自分の色を守りながら、相手のニーズを正確に理解し最適な形で表現する。そのバランス感覚がドバイで生き残るための差別化戦略だと思っています。
--印象に残っているオーダーや工夫について教えてください。
鵜飼 ホームパーティーで行われた誕生日会があります。1時間のクロースアップマジックショーのご依頼で、中学生の娘さんとそのご友人のためにお父様から声をかけていただきました。お話をうかがうと、とにかく日本のアニメが大好きで「日本人マジシャンにお祝いしてもらいたい」という想いから依頼してくださったとのことでした。そこで、使用する音楽を彼女の好きなアニメ主題歌にしたり、日本旅行をテーマにした演出を取り入れたりと内容をイチからカスタマイズしました。マジックそのものだけでなく、文化や物語を含めて体験として届けることで、より深く心に残る時間になるのだと改めて実感した現場でした。




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