ドバイ会計士のビジネス最前線「租税条約を活用して日本の源泉徴収を『10%』に節税」
UAEから日本法人に対して音楽や動画の制作を行っている企業を多く見かけます。通常こういった業務は、契約内容にもよりますが、著作権や使用料に該当し、日本側で20.42%の源泉徴収を行う必要があります。しかし、UAEで法人税が適用されたことにより、源泉税率が10%に軽減される可能性があることはご存じでしょうか?
非居住者(外国法人含む)に対して、日本国内で源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、原則として所得税および復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。しかし、2か国間で租税条約を締結している場合は、国内法(20.42%)よりも租税条約が優先されることになっています。
もともと、UAEは法人税や所得税がなかったため二重課税が生じ得ず、源泉徴収に関して、2か国間の租税条約は適用されませんでした。しかし、2023年6月以降に法人税が施行されたことにより、租税条約の適用が可能となり、結果、日本側で租税条約の届け出を出すことで、10%の軽減税率の適用を受けられる可能性があります。
さらに、租税条約を提出することで過去にさかのぼって源泉税を還付請求できる可能性もあります。もし、源泉税を多く支払っている可能性がある企業は租税条約の適用を検討されてはいかがでしょうか。
岡本信吾
Alwasiq Management consultantsジャパンデスク、公認会計士(CPA)。大手監査法人(EY)で5年間勤務後に独立し、東京都港区で税理士法人を開業。現在はドバイの日系企業向けに会計・税務サービスを提供している。
shingo@alwasiq.net
Alwasiq Management consultants
ドバイのビジネスベイにオフィスをかまえるドバイの会計事務所。ジャパンデスクを有し、100社を超える日系企業の税務アドバイザリーを行っている。
https://alwasiq.net/jp/
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