中東法務事情〜ドバイ在住弁護士が解説する注目ポイント「UAE連邦労働法の改正」

西村あさひ法律事務所 Afridi & Angel Japan Desk 森下 真生 Masao Morishita
日本の法律事務所に所属する弁護士として、中東地域に長期常駐する唯一の弁護士。UAEドバイからサウジアラビアを含む中東湾岸諸国やイラン、イスラエル、トルコ、エジプトなど広範囲を担当

UAE連邦労働法は、2023年と24年に一部が改正されています。改正点は、労働紛争に関する条項(54条)と実態を伴わない雇用等の場合の罰則(60条)です。UAEのメインランドにおける労働紛争は、労働省(MOHRE)による調停に服し、解決に至らない場合、裁判所に移行しますが、23年改正により、紛争額が5万AED以下のケースについては、MOHREが裁定することになりました。

MOHREの裁定は、裁判所の判決と同じように執行されます。この変更は、紛争解決の迅速化と当事者の弁護士費用負担の低減につながるものです。なお、フリーゾーンにおける労働紛争は、各フリーゾーン当局の管轄であり、MOHREの裁定権限は及びません。

また、労働債権の時効については、権利発生から1年とされていましたが、24年改正により、雇用関係の終了から2年とされました。さらに、実態を伴わない雇用等の場合の罰金が、5万AED~20万AEDから、10万AED~100万AEDに大幅に増額されています。

雇用実態のないまま友人や知人の会社を利用して、ビザを取得することは違法であり、多額の罰金が科せられる可能性がある点に留意が必要です。

森下弁護士著書の「ドバイ便り」(木楽舎)。業界誌『国際商事法務』の連載コラムを書籍化


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