安倍昭恵さん「UAEの女子大生とお茶をした際、日本愛が強く、特にアニメの影響は相当大きいと感じました」
Executive Dialogue Vol. 1 安倍昭恵さん。このコーナーでは、Gates of Dubai代表の永杉がUAE・日本の第一線で活躍するリーダーと対談し、ドバイをはじめとするUAEの実相に迫ります。
外国人児童を受け入れるアブダビ日本人学校の試み
永杉: 本連載「エグゼクティブ・ダイアログ」は、ドバイをはじめUAEに関係する方々にお話をうかがい、この国への知見を深めていく企画です。第1回目のお相手は、安倍昭恵さんです。UAEには総理夫人としてこれまで複数回訪れ、王族、学生、そして現地在留邦人とも交流を持つという、一般人ではなかなか得られない経験をしてきた昭恵さんに、記念すべき第1回目のお話をうかがいたいと思います。直近ではコロナ禍直前の2020年にUAEを訪問され、それ以前にも何度も訪問されています。最も印象深かったことを教えてください。
安倍: UAEと聞いて真っ先に思い出すのは、アブダビ日本人学校のことです。日本人学校ですので、当然駐在員のお子さんが多いのですが、同校では現地の子どもも一緒に学んでいるのです。初めて行ったときは少人数でしたが、2度、3度と行くにつれて、現地の子どもの数がどんどん増えていることに驚いたのが印象に残っています。
永杉: 日本人学校にUAEのお子さんが通っているのですか。
安倍: 民族衣装を着たUAEの子どもたちでした。先生方にお話を聞くと、アブダビ日本人学校はUAE人児童を受け入れている、世界でも珍しい日本人学校だそうです。東海大学と関係が深く、2018年度からはアブダビ日本人学校を卒業した学生を東海大学付属高輪台高校で受け入れる取り組みも始まっています。私が現地で会ったUAEの子も今は東海大学に進学しているそうなので、機会があれば日本でお会いしたいと思っています。
永杉: 日本人学校で現地の子どもがそれだけ大規模に学んでいるというケースは聞いたことがありません。どういった経緯で入学に至ったのでしょうか。
安倍: 親御さんが日本式の教育を子どもに受けさせることを望んで入学させたと聞いています。UAEは世界でも類を見ないほど急激に発展した国。かつては決して裕福とは言えない状況で、上の世代の方々は貧しくも慎ましく生きていたそうです。しかし、今の子どもたちは豊かな姿しか知らず、お手伝いさんがなんでもやってくれることが当たり前だと考ているそうです。子どもの人格形成にとってそれで良いのかと思い始めていた親御さんが、掃除や片付けを取り入れた日本式の教育方針を聞きつけて、入学を希望したと聞いています。
永杉: 急激に豊かになりすぎることの弊害もあるわけですね。しかし、その対処として日本式の教育がUAEに受け入れられることは、誇らしい思いがします。他国でビジネスを展開する上で国民の対日感情は非常に重要な要素ですが、今のお話を聞くと、UAEの対日感情は概ね好意的と考えてよさそうですね。
若者との交流で見えた日本への良好なイメージ
安倍: 私は教育の現場を多く訪問しましたが、若者と日本との強い結びつきを感じた出来事はほかにもありました。例えば、Applied Technology High Schoolという理系の公立高校では、立命館大学とコスモ石油が協力して日本語講座を開設しています。今は50名近くの学生が日本語を学び、立命館宇治高校に短期留学もしているとのこと。先ほどお話した東海大学と同様に、日本の学校法人が深く関わり両国の架け橋となる人材を育成しているのは、注目すべき取り組みだと思います。
また、UAEの大学には「日本クラブ」が複数あります。そのなかでも国立ザーイド大学ドバイ校の日本クラブは「大学合同ジャパンデー」の初開催を主導するなど、特に熱心な学生さんが揃っていました。私は同校の日本クラブ部長をはじめとする4名の女子大生とお茶をご一緒したのですが、本当に日本愛が強く、特にアニメの影響は相当大きいと感じました。
永杉: 中東の若者にはアニメが深く浸透していると耳にしたことがありますが、やはりそうなのですね。アニメであれ他の文化であれ、若者の対日感情が良好であることは、今後進出を考えているビジネスマンにも明るい話題と言えるでしょう。さて、現在UAEには多くの日系企業が熱い視線を注いでいます。私も含め、この国に新たな可能性を見出した経営者に対して、メッセージをお願いします。
安倍: かつてUAEのドバイは、ペルシャ湾に面する小さな漁港でした。周辺諸国と比較すると石油資源にも乏しく、日本などと比較すると気候面でも恵まれていない。そのような国にもかかわらず、今では世界中の人々が憧れる国へと変貌しました。もちろん、潤沢な資金があり、それを適切な形で投資したことが成長の大きな要因ですが、他国のヒトやモノを積極的に受け入れたことも発展につながったと考えます。先ほどの日本人学校のように、よい習慣であれば他国の教育システムも受け入れることが好例でしょう。ですから、今後UAEに進出を考えている方も、この国に貢献するのだという強い思いを持てば必ず受け入れてもらえるのではないでしょうか。
永杉: 私がドバイ進出を決めた理由の一つとして、現在のUAEがかつてのミャンマーで経験した状態にとても似ていると感じたことが挙げられます。在留邦人数は5,000人から1万人程度。大手企業は数多く進出しているものの、中小企業の進出数は多くない。これは私がミャンマーでビジネスを始める直前と極めて似た数値で、今後日本人が多く流入する兆しと見ています。
安倍: 以前より親交があり信頼している永杉さんには、ぜひUAEと日本の架け橋としてさらなる力を発揮されることを期待しております。私も微力ながらお役に立ちたいと思います。
永杉: 過分なお言葉をいただき恐縮です。UAEと日本の発展に寄与しようと考える強い思いを持った日本人をサポートできるよう、私も貢献していきたいと考えます。本日はお忙しい中ありがとうございました。
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