せきぐちあいみインタビュー〜日本を代表するVRアーティストが抱く砂漠への思い、イスラム文化へのリスペクト
今や世界中から高い評価を受けるVRアーティスト・せきぐちあいみさん。UAEではすでに30回ものライブを行い、数々のイベントで圧巻のパフォーマンスを披露。そんなせきぐちさんが思うイスラム文化や今後の活動について語ってもらった。
多彩なパフォーマンス、UAEでのリアクション
--まずはUAEでの活動について教えてください。ドバイで初めてパフォーマンスをしたのはいつでしょうか
2019年にドバイのワールドトレードセンターで行われたGTX(Gitex Technology Week)です。多くの人に見ていただけたようで、それ以降は「GTXで見たよ」と声をかけてもらえるようになりました。
--UAEではこれまで何回パフォーマンスをしてきましたか
アブダビを含めると約30回。ドバイエキスポやドバイモール、ドバイモーターショーのほか、2月の天皇誕生日祝賀レセプションにも出させていただきました。多くのUAEの方にも来ていただき、そうした交流の場でパフォーマンスできるのは本当に光栄です。
--UAEの人々のリアクションはどうでしょうか
多くの方から「すごいね」とか「楽しかった」と声をかけていただけます。言語を超えて喜んでもらえるのは、うれしいですね。VRアートは絵を描くというより別の世界を作れるので、この新たな表現で驚きとともに人々の想像力を拡張できたら幸いです。
--VRに興味を持ち始めたのはいつでしょうか
8年前頃、ちょうどVR元年と言われていた時期で、市販のVR機器が出たタイミングです。HTC ViveとGoogleのTilt Brushというペイントアプリを使って始めました。
--パフォーマンスのときの衣装をどうやって決めていますか
見ていただける方に「何を見せてくれるんだろう?」とワクワクさせたいので、和装やウィッグなどを使っています。デザインは抽象的なことが多く、例えば、赤いドレスは「鳥居」のイメージ。鳥居は神聖な場所と俗世を分ける象徴で、未知の世界を見せる存在になりたいんです。
イスラム建築は自分を別世界に連れていってくれる
--イスラム文化についてはどう思いますか
イスラム文化は寛容であり、作品は美しいと感じています。特に、建築物やアラビア語のカリグラフィーの美しさには心を打たれます。最近では、アラビア語を習うようになり、作品にも取り入れています。
--建築ではどういった点が好きですか
イスラム建築はまるでVRのようであり、自分を別世界に連れていってくれる感覚になります。アラビックの美しい絨毯や天井など、すべてが芸術的。アブダビのグランドモスクは何度も訪れていますが、特に夕方から夜にかけての時間帯が美しく、感動的です。グランドモスクの美しさをイメージした私の作品が、現在アブダビのザイード国際空港に展示中です。
--中東といえば砂漠のイメージがありますが、いかがでしょうか
暑くて過酷な場所だと思っていたのですが、実際に行ってみると広大な自然の力を感じ取れる神聖な場所。裸足で砂に触れると、ネガティブなエネルギーを吸い取ってくれるような感覚があり、デジタル機器に囲まれた日常から解放され、デトックスされる感じでした。音も吸い取ってくれるので、静寂の中で心が癒されますし、それ以来、砂漠が好きになりましたね。
--素敵な体験ですね
いつか砂漠に、VRで未来都市を出現させるようなプロジェクトをやってみたいと考えています。砂漠は360度がディスプレイになりますし、砂漠の美しさを損なわずにデジタルの魅力を加えることが可能。そして、デジタル機器の電源をオフにすれば元の砂漠に戻るという、両方の世界観を表現したい。技術的には発展途上ですが、Apple Vision Proや他のデバイスを使えば可能性が広がると感じています。
--今後の展望を教えてください
ドバイはアフリカにもヨーロッパにもアクセスしやすく、世界中に移動するためのハブとして適しています。最終的には、全世界やさらには宇宙も見据えて活動をしていきたいと考えていて、独自のクリエイティブを発信している日本と、世界中から新しいものが集まってくるドバイを拠点に活動していきたいですね。
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