【2024年最新】ドバイのフリーゾーンを完全解説。フリーゾーンマップ、メリット・デメリットなど
ドバイへの進出を考える際、候補地として最初に挙がるのが、フリーゾーンだろう。税制のメリット、世界水準のインフラ、多様性豊かなコミュニティが、利便性の高いビジネス環境を創出し、企業の成長を加速させる。今回は、ドバイ進出をより具体化するための情報をお届けする。
UAEのフリーゾーンとは?
「外資100%」「法人税なし」といったパワーワードが先行していた過去と比べ、不明瞭だった制度も改善されるなど、現在はより進出しやすい状況が整ってきている。それは、各フリーゾーンのHPを見れば一目瞭然であり、内容が充実し、費用感が明確になっているサイトもある。
とはいえ、気をつけなければならない点は変わらない。各フリーゾーンによって細かな制度が違い、登録できる業種も千差万別。つまりは事前確認が不可欠ということ。メリット・デメリットの詳細は下記で紹介するが、まずは大まかな内容を理解してもらった上で、各フリーゾーンでの詳細を確認する必要がある。
今回の特集が、ドバイ進出を検討しようという方、ドバイ内での移動を考えている方への一助となれば幸いである。
フリーゾーンのメリット・デメリットとは?
現在は、外資100%でメインランド(UAE国内)にも設立ができるようになり、差別化が難しくなったとも言われるが、それでもメリットは存在する。
ちなみに費用については、明言しづらいところがある。なぜなら、フリーゾーンでも値段にバラツキがあり、一方メインランドだからといって安価に収まるとも限らない。ただし、突発的なハプニングが少ないフリーゾーンの方が全体的なコスト試算はしやすいとも言える。
そうした点は進出前にどれだけ事業内容の詳細を詰められるかにかかってくるので注意してほしい。
ドバイフリーゾーンマップ
ドバイで稼働している主要なフリーゾーンを一覧でまとめた。しかし、フリーゾーンは増え続けており、ここに掲載していないものもあるかもしれないので、その点は注意してもらいたい。
また、カテゴリーも紹介しているが、多くは経済省の公式HP(https://www.moec.gov.ae/en/free-zones)に掲載されているものであり、実際にはカテゴリーに該当しない業種でも登録は可能となっている。個別で問い合わせてもらいたい。
現地で経験しなければわからない? フリーゾーンあるある
ドバイのフリーゾーンに入居していなければ、なかなかわからない頻出課題や疑問を“あるある”としてまとめた。進出検討されている方は参考にしてもらいたい。
1. 定価は定価じゃない。お人よしな日本人!?
海外の商習慣として、最初に出される見積もり金額から、その後何度も交渉し、適正価格に落ち着くということがある。つまり最初の見積もりは、高めの金額が設定されているということ。
交渉せずに契約してしまえば当然損をするし、予算オーバーだと諦めれば、入りたかったフリーゾーンを断念することとなる。日本人はお人よしな面があり、どうも“値切る”ことに慣れていないが、海外では事情が違うため、思い切って交渉すべき。
2. 知らないコストがかさんでいく地獄のループ
フリーゾーンに限らないが、法人登記後になぜか知らない登録事項が次々と出てくるケースがある。
トレードライセンスを取得したものの、その後、別のライセンス、法人税の登録(2023年開始の新税対応)、VAT(付加価値税)の登録、ESR(Economic Substance Regulations)の登録など、進出前には何も聞かされていなかった費用がどんどんかさんでいくという地獄のループ。バッファをもって予算組みをするのが無難。
3. フリーゾーンの運営は民間企業がやっている!?
ドバイのフリーゾーンは、国が一元管理しているわけではなく、個別対応となっている。そこには、より迅速な外国直接投資を促進するため、民間が主導となって進めてきたという背景がある。
そのため、経済省のHPにもすべてのフリーゾーンが記載されているわけではない。例えば、ドバイクリーク近くの港に寄港しているクイーンエリザベス号内のDUQEフリーゾーンも経済省のHPには掲載されていない。個別に問い合わせる必要がある。
4. ドバイあるある!? 詐欺まがいのエージェントも
フリーゾーンを仲介する存在として、頼りになるのがエージェント。しかし、本来は心強いパートナーのはずが、ときに法外な金額を請求されたとしてトラブルになるケースも少なくない。また、フリーゾーン側もエージェントを細かく管理していないため、ユーザーがエージェントからいくら請求されているのかも把握していない。
新規でエージェントを探す場合は、セカンドオピニオンなどの対応を採るのが無難だろう。また、直接自分でフリーゾーンに申し込む場合と、エージェントに頼む場合の比較を下記にまとめたので参考にしてほしい。
日系企業の進出も多数。ドバイのフリーゾーン4ヵ所を紹介
ドバイには30弱のフリーゾーンがあるとされ、日々増えているのが現状。そんななか、日系企業が多数入居するJebel Ali Free ZoneやDubai Airport Freezone、金融業に特化したDubai International Finance Centre、GoogleやMicrosoftも入居するDubai Internet Cityの4ヵ所を取り上げる。
1. Jebel Ali Free Zone(JAFZA): 主な入居業種=貿易・物流・自動車・製造
世界への貿易地としての入り口・JAFZA。UAEを代表するフリーゾーン
ジュベル・アリ・フリーゾーン(JAFZA)は、大手港湾運営会社・DP Worldの旗艦フリーゾーンであり、中東最大の税関保税地域。ジュベル・アリ港とアル・マクトゥーム国際空港にシームレスに接続し、迅速かつ正確なグローバル物流を実現、国際取引と外資進出の中心地的存在となっている。
DP Worldは世界で90ヵ所以上の港湾において、50年以上にわたり、先進的なオペレーションを開発・実践し、2023年には“最も影響力のある物流ハブ”として表彰されるなど、中東トップのフリーゾーンとして確固たる地位を築いてきた。2024年1月現在、世界140ヵ国以上から約10,000社が入居し、そのなかには約100社の日系企業も含まれる。広大な敷地には、製造業向けの「ナショナル・インダストリーズ・パーク」(NIP)、中古車市場を対象とした「ドバイ・オート・ゾーン」(DAZ)とオフィススペースの3セクターがあり、多様なニーズに対応している。
多彩な輸出入オプションときめ細かなサポートにより、調達から物流に至るまで入居企業が望む効率的なサービスを提供。UAEでの貿易拡大を見込む企業にとって、同地は間違いなく最良の選択肢としての際立ったプレゼンスを発揮している。
URL: https://www.jafza.ae/
Tel: International +971-4-4453270 / UAE 800-JAFZA(52392)
2. Dubai Airport Freezone(DAFZ): 主な入居業種=貿易、製造業など
空港至近、国際物流とオフィスを両立するDAFZ
日系企業にもお馴染みのドバイ・エアポート・フリーゾーン(Dubai Airport Freezone / DAFZ)は1996年に設立、ドバイ国際空港の近くに位置する中東トップクラスのフリーゾーンとなっている。20以上のセクターにわたる、さまざまな業種2,700社以上の企業が入居し、拠点を構える。最大のメリットは、立地と保税エリアに倉庫付きのオフィスエリアが用意されている点。前述した通り、ドバイ国際空港に隣接しているため、世界の主要都市へのアクセスが容易であり、国際物流と貿易のハブとして理想的なロケーションを実現。こうした優位性から、DAFZは航空、物流、貿易などの産業において、ドバイで重要な役割を果たす。
同地に入居するKOBELCOグループは、現在3社がDAFZを利用しており、KOBELCO建機の根崎社長は「別の場所と悩んだ末、空港から近いこと、価格面を理由に同地に決定しました」と話す。また、サービスについては「常にフォローしていただけるのはありがたい」と高く評価している。
最新のオフィススペース、倉庫、軽工業ユニットなど、さまざまなニーズに対応し、充実したフォロー体制のDAFZは、中東やアフリカでビジネスを展開する企業に対して、その存在感をますます高めている。
URL: https://www.dafz.ae/en/
Tel: +971-600-532-392
3. Dubai International Finance Centre(DIFC): 主な入居業種=金融、貿易、ITなど
中東の注目エリア。世界経済に影響を与える金融ハブ
ドバイの洗練されたオフィス街を体現するフリーゾーンが、ドバイ・インターナショナル・ファイナンス・センター(Dubai International Finance Centre / DIFC)。日系のメガバンクや国際協力銀行、大手商社など、金融や貿易に関連する企業が数多く入居。中東、アフリカ、南アジア(MEASA)地域を代表する世界金融センターとして、20年近くにわたり、MEASA全体の貿易と投資の促進に寄与、DIFC市場の取引金額は約1兆米ドルに達している。入居企業数は5,000社以上にのぼり、そのうち600社以上が金融関連企業。
金融に関するエコシステムが確立され、DIFCでは教育と人材開発に注力し、高いスキルを持つ人材を雇用しやすいという大きなメリットがある。さらに専門家を招聘し、新税制や金融に関するセミナーを定期的に開催するなど、入居企業へのサポート体制も充実。高品質のオフィススペースに加え、商業施設、レストラン、アートギャラリーなども併設し、ビジネスだけでなくライフスタイルの面でも高い品質を提供する。
中東の時差を生かしたトレードメリットも大きいことから、世界中から注目が高まっているDIFC。金融ビジネスにおいて、あらゆるリソースを享受できるエリアとして、今後も成長が期待される。
URL: https://www.difc.ae/
Tel: +971-4-362-2222
4. Dubai Internet City(DIC): 主な入居業種=IT、通信、スタートアップなど
ドバイのITと通信の中心地。先進企業が集うフリーゾーン
ドバイ・インターネット・シティ(Dubai Internet City / DIC)は、ドバイにおけるテクノロジーとイノベーションの中心地であり、情報技術と通信分野に特化したフリーゾーン。運営は1999年以来、ドバイでビジネス関連施設の開発を行うTECOMグループが担当し、デザインディストリクトやメディアシティを含む約10ヵ所のフリーゾーンを手がけるなど、企業向けサービスの知見は卓越している。同地にはGoogle、Microsoft、IBM、Oracleなどの世界的ITメガ企業が入居し、その高い信頼性がうかがえる。
DIC最大の特徴は、その統合されたエコシステム。最先端のオフィススペース、高速ネット接続、最新のITインフラに加え、法的支援、ビジネスセンター、ネットワーキングイベントなど、企業に不可欠なあらゆるサービスを提供し、成長と発展をサポートする。
DICに入居する、ある通信企業のダイレクターは「問い合わせ窓口が一つのみで完結し、対応もしっかりしています。あらゆるサービスにおいて不満はなく、安心感があります」と評価する。
マリーナエリア至近というドバイの一等地に位置し、通勤環境や周囲の利便性も抜群のDICは、人材採用にも有利。ドバイの成長産業を担うDICの役割は、今後もますます大きくなっていく。
URL: https://dic.ae/
Tel: +971-4-391-1111
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