陸路10時間の越境レポート。有事下のGCCを横断する<編集部コラム>

中東・UAEで日本食材卸・ケータリング事業などを営むサミットトレーディングの大久保氏が、業務運営及び引き継ぎのためドーハを陸路で訪問。空路が断たれた湾岸を車4台乗り継いで走り抜けた道中と、ドーハ・サウジ・アブダビ・ドバイ4都市の経済影響を、現場の肌感覚で語った。ドバイ市内で大久保氏に詳細を聞いた。(Gates Dubai編集長・武田)

サミットトレーディング代表取締役・大久保史朗氏。農林水産省から中東・アフリカ地域初の「日本食普及の親善大使」に任命されている

空路なき湾岸を陸路10時間。4台の車を乗り継ぐ旅

厳戒態勢が敷かれていたサウジ国境

アブダビからドーハへの空路は使えないため、大久保氏は陸路約10時間の旅を敢行した。ビザやドライバーの問題から、合計4台の車を乗り継ぐという複雑な行程だった。

まず、アブダビ市内からUAE国境まではいつも利用している社用車で移動。国境直前でサウジアラビアのビザを持ちアラビア語ができるドライバーに交代し、車も変更した(UAE側のドライバーはサウジのビザを持っていないため)。

サウジの入国審査は極めて厳格で、指紋採取、荷物の全品検査、車両のスキャニング(爆弾チェック)、持参していた薬は1錠1錠を検品、警察犬による検査が行われ、通過に1時間半を要した。日本人が陸路でサウジに入ること自体が珍しく、「なぜ陸路で来たのか?」と問われる場面もあったという。サウジ国内に入ると、今度はサウジの道路事情に詳しいドライバー&車に交代。その後、サウジ側のパートナーとサルワで面談した後、さらにカタール国境の手前でカタールのビザを持つ4台目のドライバーに交代してドーハに入った。

カタールの入国審査ではアライバルビザの発行で対応。サウジ・カタールの国境は、インド人やパキスタン人、スリランカ人などの南アジア人等労働者層の新規ビザ発行が一時停止されており、人の移動も大幅に制限されていた。

サウジとドーハの現場。市街は動く、食材は届かない

10時間の行程を経て、ドーハ入り

ちなみに大久保氏はサウジアラビアの首都・リヤドには行っていないが、現地の関係者との情報交換によれば、サウジも石油施設への攻撃は受けているものの、リヤドやジェッダの市街地への影響は米大使館など限定的。攻撃対象は米軍基地周辺の施設が中心とのこと。飲食店は8~9割程度の入りで、日本人駐在員もUAE・カタール同様に多くの退避が進んでいる。

ドーハ市内中心部の飲食店は7〜8割の入り。ただし、空港閉鎖とコンテナ不着のため生鮮品と常温冷凍食材流通品が入らず、特に生鮮品は空輸を再開したものの地場の食材も活用してやりくりしている状況だ。野菜・果物は1.5倍に高騰し、サミットはUAEから陸路で食材を送り込み、サウジ・ジェッダ港から陸揚げし陸送を試みているが、輸送コストは跳ね上がっている。
【後編 湾岸4都市レポート。戦時下で浮かび上がった依存構造<編集部コラム>

ZUMAのドーハ店。大久保代表(一番左)はこうした現地の人気店を訪れ、リレーションを深めている

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