「食の熟度を育てる動的マーケティング」〜和食のチカラ。UAE市場を拓く

日本の食は、私たちが思う以上に多様で魅力に満ちています。その価値を世界へ伝え、多くの人々に味わってもらいたいと願うのは自然なことです。しかし、食は異文化コミュニケーションの中でも最も受け入れのハードルが高い分野の一つ。例えば、日本を代表する刺身を誰もがすぐに受け入れられるとは限りません。だからこそ、日本食への理解と親しみを段階的に育てる視点が重要になります。
人は成長とともに食の経験を広げていくように、海外の消費者にも日本の食文化への「熟度」を高めるプロセスが必要です。まずは日本のお菓子、次にカップ麺やラーメン、アニメで親しんだ丼物、寿司、飲料、そして最終的には郷土料理へと興味を深めていく。このような段階的な体験設計が、日本食ファンを着実に育てます。10代で日本のお菓子に親しんだ世代が、30代、40代には訪日できる経済力を備え、本場の食文化を楽しむようになるでしょう。
日本の食を世界へ広げるには、目先の輸出や販売促進だけを考える静的な発想ではなく、消費者の成長を見据えた時間軸を取り入れた「動的マーケティング」が不可欠です。これこそが、日本の食文化を持続的に世界へ浸透させる鍵になると考えます。

北川浩伸
1989年日本貿易振興会(ジェトロ)〈現・日本貿易振興機構〉入会。現在、ハリウッド大学院大学教授、実践女子大学客員教授。公益社団法人ベトナム協会理事など公職多数。rollo43@me.com



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