ドバイ会計士のビジネス最前線「立替経費を顧客に請求する際のVATの注意点」

立替経費をクライアントに請求する場面は、会計・コンサル・法務などの専門サービスで日常的に発生します。ただし、VAT上は「立替だから非課税」と一律に判断することはできません。重要なのは、その支払いがDisbursementなのか、Reimbursementなのかを見極めることです。
Disbursementとは、クライアント名義で発生し、クライアントが法的に負担すべき費用を、代理人として一時的に支払うケースです。例えば、クライアント名義のライセンス更新費用や官公庁手数料を代理で支払う場合が典型です。この場合、サービスの受益者はクライアントであり、支払者は単に支払いを代行しているだけなので、VAT上は課税対象外として扱われます。
一方、Reimbursementは、自社名義で発生した費用を後からクライアントに請求するケースです。例えば、コンサルタントが自社名義で航空券やホテルを手配し、その実費を報酬とあわせて請求する場合です。この場合、その費用は自社のサービス提供に必要な原価とみなされるため、クライアントへの再請求分も課税売上としてVATの対象になります。
分かれ目は「インボイスの名義」と「誰がサービスを受けているか」

実務上は、インボイスの名義と、誰がサービスを受けているかを整理することが重要です。Disbursementとして扱うには、クライアント宛てのインボイスであること、実費のまま請求していること、請求書上でサービスフィーと立替分を明確に分けて表示していることが望まれます。反対に、実費にマークアップを乗せたり、自社名義の費用をまとめて「立替」として請求したりすると、Reimbursementとして課税対象と判断されるリスクが高まります。
分類を誤ると、VATの計算を誤るだけでなく、クライアントに不要なVAT負担を強いてしまうことにもなってしまうわけです。UAEでは、税務当局がDisbursementとReimbursementの考え方をPublic Clarificationで示しており、税務調査でも重要な確認ポイントになります。
立替経費を請求する際には、「インボイスの名義」「誰がサービスを受けているか」を常に意識し、契約書・インボイス・会計処理・VAT申告がそれぞれ矛盾しないように設計することが重要です。そうすることでクライアントの不要なVAT負担を避けながら、税務リスクを抑えることができるでしょう。

岡本信吾
Alwasiq Management consultantsジャパンデスク、公認会計士(CPA)。大手監査法人(EY)で5年間勤務後に独立し、東京都港区で税理士法人を開業。現在はドバイの日系企業向けに会計・税務サービスを提供している。
shingo@alwasiq.net
Alwasiq Management consultants
ドバイのビジネスベイにオフィスをかまえるドバイの会計事務所。ジャパンデスクを有し、100社を超える日系企業の税務アドバイザリーを行っている。
https://alwasiq.net/jp/




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